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Musashi文庫:52ヘルツのクジラたち

2020/10/08
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注目作品 「52ヘルツのくじらたち」

中学受験科責任者の櫻田です。

2020/4/18発刊、町田 そのこ  (著)、

長谷川に紹介されて読んだ「52ヘルツのくじらたち

」。早速、感想文をあげてみました。

重版出来になった、本作品。

ご覧になった方も多いのでは?

中学受験には、もちろん、「出るでしょう。」

個人的見解ですが、最難関男子校、および、中堅女子校で扱われそうです。

詳しく知りたい方は、面談にて真意をお伝えします。

 


物語…。

母親から「家族」として見てもらうことができない境遇の女性、貴瑚が主人公となり、様々な『孤独』を抱える人々との出会い・諍い・そして共感と気付きをしていくものです。

内なる悩みを抱えるアンさん、家族から『ムシ』と呼ばれて育った男の子……様々な境遇にいる登場人物たちの生活背景が、会話を主体とした文体で表現されます。

会話については、畳み掛けるような表現。

人によっては「」で囲まれるのが会話、と考えていたら、混乱してしまうかも知れません。


今回は、2つの軸から見ていきます。

マイノリティ

この物語にはマジョリティ(多数派)と呼べる人物よりもマイノリティ(少数派)と呼べるような人物が多く、登場します。

いや、むしろ、全ての人物がマイノリティ(少数派)なのかもしれません。

 

皆さんは「マイノリティへの配慮」「マイノリティへの理解」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

これは、紡ぐことは簡単な言葉でも、実際に、配慮・理解することはとてもむずかしいです。

マイノリティ……と一つの「分類」を作ったとしても、それは、性質上、「個」によって抱えるものが異なるからです。

例えば、マイノリティと「分類」される人と、マジョリティに「分類』される人が接したとしても、「配慮」「理解」というポーズこそさえ出来るものの、互いに深い理解にまでは行き着けない、そのような現実を描いているように感じました。

最近の作品(といってもここ10年くらいでしょうか)では、「マイノリティへの理解をすべきではないのか?」という視点で描かれる作品が多かったですが、

今回の作品は、「マイノリティへの理解を苦悩しつつしようとするマジョリティの人々」と「マジョリティには理解できないと、諦観しているマイノリティの人々」が対比して強く描かれます。

とにかく、畳み掛ける会話の流れ圧巻です。

圧巻、だからこそ、もしかしたら、物語の前半は暗愁を覚えるかもしれません。

しかし、それを振り切って読み続けると、やがて、物語において枢要な部分へと行き着きます。

 

もしかしたら、小学生・中学生にとって読み続けるのは苦しいかもしれませんが、その先にある作者のメッセージをぜひ、感じ取ってほしいです。

いや、小中学生に限りません。どの世代の方々にも読んで欲しい作品です。

ただし、長閑な気をもっているときのほうが、良いかも知れません。


孤独なクジラ

物語のタイトルにも引用されている52ヘルツのクジラ。ご存知でしょうか?

 

私は……

 

知りませんでした。(笑)

いや、意識の中に残っていなかったというべきかもしれません。調べれば調べるほど、「わりと有名な」話みたいです。

 

クジラ・イルカ類は哺乳類であり(←いきなり理系感を醸し出す)、似たような仲間です。

これらは超音波により、コミュニケーションを取ることが知られています。

 

ただ、クジラの中でも52ヘルツの周波数で「発信」する、そういったクジラは稀有だそうです。

そのため、52ヘルツの鯨は「世界で一番孤独な鯨」とも呼ばれているそうです。

 

この鯨は、例え、「助けて」と言っても、その「言葉」が。「考え」が。相手に伝わりません。

 

このような孤独に耐えられるでしょうか。

少なくとも、話し好き、カマチョ傾向の強い、私、櫻田には難しいです。

 

しかし、もしも、

理解できる相手(=52ヘルツ帯でやりとり)と出会うことが出来たら……。

みんなとは言えず、たった一人でも良いから、「理解」してもらえる存在と出会えたのなら……。

 

この先は、本書の扉を開いてのお楽しみです。

 

そして、表紙。

見入ります。

これだけでも、A4一枚行けそうなくらい。

 


余談ですが、塾講師になって、17〜8年。

中学受験も2年目から指導していますから、

指導歴としては、

算数17年、理科17年、数学10年、社会6年……。

でも、勉強しても勉強しても、新しいことが生まれてきます。

そう、塾講師の仕事には「終わり」がありません。

 

あるのは、人によってはタカラの山。人によってはタスクの山。

 

私は、この環境で、このように「学び」に集中できて幸せだなと思います。

 


今日は休日。

たくさんのテスト形式問題集(四谷大塚の週テストs問題、総合問題集、学校別予習シリーズ開成・桜蔭・豊島岡・武蔵・麻布・渋渋……。)、そして、5年生の週テスト……。

解いても解いても「こんな切り口があるのか」と思わされる毎日です。

余談ですが。