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Musashi文庫第4弾:「流浪の月」(櫻田担当版)

2020/09/06

2020年本屋大賞:凪良ゆう「流浪の月」

中学受験科責任者の櫻田です。

流浪の月の感想です。やっと、読み終わりました。

なかなか、読み進まなくて……。読み始めたら2時間くらいでしたが、なかなか物語に入り込むのに時間がかかりました。

 

 


「いま」の時代に合っているという意味で、大賞を受賞したのではないでしょうか。

……あ、初めに申し上げますが、読んだ後に「すっきり」はしませんでした。展開上の仕掛け(展開の裏切り)も……まぁ、想定内だなぁ、と思っていました。

これは、私の感受性や人生経験の欠落が原因なのかもしれません。

思いっきり、主人公の更紗に感情移入して読んだほうが、さらっとよめたかも・・・思います。

まず、大まかな感想です。

 

この物語を読むと、アイスクリームが食べたくなります。(笑)

しかも、夕飯に。

表紙の写真、アイスクリーム、美味しそうですね。

いちごソースがかかっているのと、かかっていないのがあるんですよ。そして、ソースがかかっていないのは食べかけのスプーンが置かれていて、ランチョンマット からも外れています。

アイスですか。

個人的には、ベリーソースは酸っぱすぎないのが好きです。

でも、甘くないのが良いです。硬いのは嫌です。

わがままですね。

 

 あくまで、感想ということで御覧ください。

 長谷川も感想文を書いていますし、少し、違う方向で書いてみます。

 表現・テーマ・タイトルの三つの柱で書きしたためます。

表現

 全体としては、明暗を描くのが上手い、という印象です。「自分にとっての」(ここがポイント)、日常や幸せを多彩な色で描きつつ、平坦で一般的な日常を、無色で描いているイメージです。

 自分の気持ちを他人には理解してもらえない、表面的な他者からの「理解している」雰囲気を嫌う、主人公の更紗の心情が、細かく表現されています。

テーマ

 テーマは、少数派(マイノリティ)。これは、誰もが読んで感じることでしょうし、最近となっては、小説・物語のテーマとしては珍しいものではありません。

 しかし、この小説では、少数派と多数派(世間)の違いだけではなく、少数派と少数派同士の諍い・人間関係が描かれていきます。

 見ていませんが、読書感想のレビューも、様々な捉え方、があるのではないでしょうか。

 物語では、

 ・互いに欠落しているものを補っている関係

(なんていうのでしょうね。相補的な人間関係というか。)

 ・世間からは理解できない共依存関係

 が描かれていると感じました。

ポイントは下線部の

「欠落しているもの」

「世間からは理解できない」の部分です。

 何をもって「欠落」というのか、何をもって「理解できない」のか(何をもって「理解できる」のか)

 理解のある人って何……?

 ほんとうの意味で他人を理解することなんて出来るのだろうか……?

 そもそも、共生していく中で、

 「あなたのことを私は理解している」という認識自体が、ひどく、おこがましいことなのではないか。

……そういった、ある種、秩序の無い筆者の主張が伝わってきたように感じます。

と、この感想文に矛盾があります。お気づきかもしれませんが、「秩序」だって、「誰が決めたのか」という話です。

 世間だってある種屈折しているじゃないか、そんな角度の意見も垣間見えてきます。

 そのような意味では、今まで触れてきた少数派(マイノリティ)をテーマにした小説とは、少し違う感覚でした。

 まぁ、ちょっと小難しい話をしたので、本筋に戻します。

 この物語で、「善い人」として描かれているのは、

 ・開けっ広げで

 ・自由気ままに行きていて

 ・世間からは非難されるような生き方をする

 そんな人間だと感じました。

 主人公の更紗は、そんな人たちといるときのほうが

 心が穏やかでいられます。

 

タイトル

 流浪(るろう)の月

 本を読み終わって見て、もう一度タイトルを見てみました。

 流浪の月……物語を読む前は「少数派は世間をさすらい歩いていくしかなく、でも、その一人ひとりは、月のように輝いている存在だ。でも、太陽にはなれない。」……って話でしょ、と思ってました。

 我ながら、考え方は、かなり屈折しています。(笑)

 でも、読み終わって、少し違う感想をいだきました。

 流浪……さすらい歩く部分に関しては、かなり+のイメージなのかな、と思い始めたのです。

 月……これも輝いていることを示しているよりも、「少数派とは言ってもいろいろな形がある」ってことかなぁ、と。まぁ、てきとーな推測ですが。

 月は、出てくる時刻も形もバラバラじゃないですか。

 太陽は、いっつも(季節によって変わりはしますが)、朝に東の空から、夕方に西の空へ。秩序を保って、動いていきますね。

 

 そう、結局、最後は、理系的な解釈(理科的な解釈)になりました。

 

まとめ

 そんなこんなで、とても面白い作品だと思います。

 一つ一つの出来事が、やや、センシティヴな内容も多く、入試に出題しやすいか、と言われると微妙かもしれません。

 でも、入試に出る作品が、価値が高いとは限りませんからね。

 

 この作品、2回・3回と重ねて読むことで、違った角度で見られるかもしれませんね。