BLOG

Musashi文庫第4弾:「流浪の月」

2020/03/30

Musashi文庫とは……?

 今年で2年目。

  読書の楽しさを知って欲しい、そのようなところから企画が始まりました。

 相田・櫻田・長谷川の3名で「本屋大賞候補作」の中から、それぞれ2冊ずつピックアップ。そして、読んだ人が感想文を公開します。

 そして、三人ともに読み終わったら、Musashi生にも貸し出しします。

 ※入試に出るかどうかはわかりません。 

今回は、長谷川が担当です。あれ?相田はどこに……。


Musashi文庫 2020第4弾

流浪の月 凪良 ゆう

この本は、主人公である更紗の半生描いたものです。父親が亡くなり、母親とも離れ親戚の家に引取られますが、ひどい扱いを受け自分の居場所を見つけられません。そんな小学校生活を送りながら出会ったのが19歳で大学生だった佐伯文。文自身も心に深い傷を負っています。そんな傷ついた二人が、お互いの存在により傷ついた心を癒していきます。

しかし、周りからはどう見えるでしょう。もちろん二人には恋愛感情は全くありません。しかし、お互いを必要としています。他の誰よりも。もちろん誰からも理解されませんが。周りの「偏見」や一方的な「常識」の中で生きる二人は「孤独」なはずなのに、文章にはそういう暗さはありません。むしろ人と違ってもいい…心が軽くなったように感じました。

一言でいうと、「普通でない」=マイノリティーについての文章です。私はこの文章を読んで2007年、櫻蔭中で出題された『星兎』(寮美千子)を思い出しました。主人公であるユーリと兎との濃密な交流です。もちろん兎は他の人から見たらありえない存在ですし、誰も存在自体を認めません。普通でないものは、認められない。『流浪の月』も『星兎』もそんな「偏見」に一石を投じた作品です。ちなみに今春(2020年)の早稲田中の国語では「女性になりたい少年」の物語が出題されました。

重いテーマですが、『流浪の月』はセリフが多くテンポよく読めます。また、精緻な情景描写により庭や部屋などの情景が鮮やかに頭に広がってきます。あらすじだけでなく表現もまた楽しんでもらえたらと思います。